【マラウイ】飢えと闘うマラウイの村人たち
「マンゴーばかりの食事にはもううんざりです。でも、これしかないんです」
カムガ村に暮らすムサムデさんはそう語りながら、熟れたマンゴーを手にしていました。
南部のこの村では、かつて主食だったトウモロコシの畑が洪水で水没し、今ではマンゴーだけが頼りの食糧です。
しかし、村人がマンゴーを採るには、危険と隣り合わせの命がけの挑戦が必要です。
村の近くを流れるシーレ川には多くのワニが潜んでいます。
「マンゴーを採っていた時、ワニに襲われました」と語るのは、25歳のジュサさん。
幸いにも仲間の助けで命は助かりましたが、足には大きな傷が残っています。
「子どもたちも危険を承知で川のそばに行かざるを得ません」と村長のヨナ氏は嘆きます。
「マンゴーの季節が終われば、どうなるのか…」。
一方で、希望の光も見え始めています。
隣村のンソモでは、防水堤や植林を行い、自然災害に立ち向かおうとしています。
住民たちが協力して作り上げたこの堤は、少ない予算ながらも村を洪水から守る役割を果たし始めています。「私たちは手をこまねいているだけではいけないと思いました」と住民のマバラメさんは語ります。
さらに、灌漑設備を導入したティヤンガネでは、畑が再び緑を取り戻しています。
ここでは、トウモロコシや野菜が季節を問わず育ち、村人たちに笑顔をもたらしています。「この設備のおかげで、家や家畜を持つことができました」とゴバティさんは誇らしげに話します。
しかし、こうした成功例が広がるには資金不足が大きな壁です。
「多くの地域で同じことを実現したいのに、予算が追いつかないんです」と村のリーダーたちは声を揃えます。
それでも、住民たちは工夫と努力で未来を切り開こうとしています。
彼らの挑戦は、困難な状況の中でも諦めない強さと希望の象徴です。