【ギリシャ】古代ギリシャに刑務所がなかった理由
古代ギリシャでは、現代のような刑務所は存在しませんでした。
犯罪者は罰金、追放、または処刑されることが主流で、拘束施設は一時的なものでした。
刑務所の代わりに、「罰は犯罪に見合うべき」との思想が重視され、犯罪者への更生ではなく、抑止力や社会の安定を目的としていました。
深刻な犯罪者は都市国家から追放されるか、処刑され
る運命にありました。
また、借金を返済できない者は一時的に拘束されることもありましたが、これも正式な刑務所とは異なるものでした。
しかし、罰金を支払えない貧しい人々が多く、軽微な犯罪であっても処刑が濫用される問題が生じました。
このような状況を補うため、アテネでは「陶片追放」と呼ばれる制度が導入されました。
市民が陶器の破片に犯罪者や不都合な人物の名前を書き投票し、追放を決定する仕組みです。
哲学者プラトンは初めて「更生」を重視した刑罰を提案しました。
彼は犯罪者を教育し社会に戻す必要性を唱え、罰が罪に比例するべきだとしましたが、これが広く受け入れられるには至りませんでした。
古代ギリシャにおける刑罰制度は、現代の価値観とは異なる視点から社会を維持しようとしたユニークな取り組みだったといえます。